ゲームのローカライズ七転八倒!(3) ―プロの方は読まないでね!―
こんにちは。
ゲームのローカライズについて書かせていただいている、
ライズカンパニー代表の井手と申します。
前回のブログ記事はこちらです。
最初から読む場合はこちらです。
今回はKPIって何だ!?編です。
相変わらずプロの方にとっては、本当に「いやいやわかってるって!」という内容ですので、
ぜひお目こぼしをお願いしたいところです。
A社は台湾の開発元であるB社から、
日本におけるアプリ「覇王別姫」の展開の権利を購入し、日本で展開することを考えています。
現在は、A社は下記のような費用を見積もっています。
・イニシャルコスト
翻訳者:1人/月
デザイナー:1人/月
サーバー費用:○万円
・運営コスト
運営:1人/月
さて、これまですったもんだがあり、
翻訳者、デザイナー、運営を担当する人間がアサインされました。
運営を担当する人間はA社の中で選定し、初めてながら将来を嘱望されている若者です。
アプリ内のローカライズはおおむね目処が立ちました。
まだ残っている台湾の言語も、日本語訳を開発元に渡すことで実装してくれるという話になっています。
次の課題はいよいよアプリの立ち上げと広告です。
さっそくアプリの広告を手伝ってくれる会社の担当者と打ち合わせを持った運営。
広告会社「このアプリのLTVとかCPAはどれくらいで考えておられますか?」
LTV……?
CPA……?
運営の人は社内に持ち帰ると返答し、一度帰ってもらいました。
そしてさっそく目の前にある箱で検索をしてみました。
LTV:1人のユーザーが離脱するまでの課金学累計値
CPA:1人のユーザーが課金に至るまでの広告にかかるコスト
なるほどわからん。
そして調べるうちに、これらの数値は「KPI」という指標のひとつであることが分かってきました。
KPIって……?
KPIとは、「Key Performance Indicators」のことです。
主にゲームでは、コンテンツの状況を評価するためにLTVやCPAなどの数値を抽出し、分析対象とすることが多いです。
(後々の話でも何度も登場するかと思います!)
KPIにもいろいろな指標があるのですが、ここでLTVとCPAの話題が出てきた理由は、
1人のユーザーがコンテンツに離脱するまでにどれくらいの課金をしてくれるかと、
そのユーザーを獲得するまでに必要なコストを計算する必要があるからです。
もちろん指標はこれだけではありません。
ゲームのコンテンツの収支を計画するには、
①ユーザーを集めるためにかかるコスト(広告費など)
②ユーザーの課金による収益(課金率、課金単価)
③ユーザーの離脱(LTV、継続率)
など複数の数字を利用して計画を作っていく必要があります。
もちろん必ずしも計画通りにはいきません。
しかし、非常におおざっぱに言って、
広告費+運営費<収益
を目指さなければ、コンテンツは黒字とはなりません。
また、考え方もいくつもあり、
① 短期間で高い課金率と高い課金単価を狙って投資回収を目指す手法
② 初期は課金は考えず集客に徹する方法
③ ①②の折衷
①は予算とスケジュールが潤沢なコンテンツに向いています。
A社は検討のすえ、①を選択することにしました。
なぜならもともとの予算を少なめに見積もっていたからです。
はてさて、どうなる「覇王別姫」!?
しかし、次回「もしかしてテイストが……?」
次号に続く!
株式会社ライズカンパニー
代表 井手隆介
早稲田大学社会科学部卒業後、テレビ番組制作会社にて制作を担当。
その後ゲーム業界に転身し、ネットワークゲームの企画アシスタント、 国産および海外製大規模MMORPGの企画、制作、ローカライズなどを経て モバイルオンラインゲームのプロデューサーとして転職。
企画から運営まで一貫したフェーズを経験。
これらゲーム制作工程全てに渡る経験を活かし、起業し独立。現在に至る。
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