ゲームのローカライズ七転八倒!(1) ―プロの方は読まないでね!―
こんにちは。
ゲーム業界に居始めてはや10年……。 ライズカンパニー代表の井手と申します。
Lowws様に寄稿させていただきました。
今回は海外からゲームを導入して日本でサービスする場合、 まず一般的に考えられるローカライズについてのお話をさせていただこうかと思います。プロの方ならご存知の内容ばかりかと思うので、 副題に―プロの方は読まないでね!―と入れております。 これでハードルが下がったぞとほくそ笑みながら進めます。
単純にローカライズというと、 海外の言語で記載された部分を翻訳者が翻訳して終わり……! という印象をお持ちの方もいらっしゃると思います。
では本当に翻訳者1人で何とかなる案件なのか? というとなかなかそうはいかないのが現状です。
今回は、架空のゲームを題材に、ローカライズ実務について書かせていただきます。
――架空のゲームアプリ「覇王別姫」をローカライズする!――
欧州圏のゲームよりも、日本国内でこれまでローカライズについては 営業頻度も案件も増加してきている台湾のアプリとします。
「覇王別姫」は台湾のゲーム会社が作成したゲームアプリです。 このゲームをこれまで運営経験はないA社が購入し運営する計画を立てています。 たまたま最近huluで「覇王別姫」を観たとか、 その影響で横山光輝氏の「項羽と劉邦」を一気買いしてしまったとかはとりあえず関係はありません。
タイトル:覇王別姫 ジャンル:ソーシャルアプリ プラットフォーム:iOS/Androidネイティブアプリ 容量:30MB
こんなところでしょうか。 さてローカライズをします、といってもどういう契約形態にするか? その金額は?というのがどうしても最初の課題となります。
売り切りでソースコードなどを全てこちらに引き渡しなのか、 それとも契約金○○円で、以降ライセンス契約なのか、MGはあるのか、ないのか。
◆一言メモ MG :ミニマムギャランティです。売上に関わらず支払う金額です。
売り切りの場合は日本で運営する必要があるので、 ソースコードを解析し運用するエンジニアが必要です。 管理画面が完備してるからエンジニア抜きでも何とかなるさ……とはいかないのが現実です。
このあたりはよく検討して相手方と交渉してください。 キーになるのは、開発元の運営中アプリの実績です。 まだ開発段階の場合はテストプレイによる評価になると思いますが、 あまりこうしたケースはないでしょう。
さて、無事に「覇王別姫」は交渉が妥結しました。 ローカライズ契約を結んだA社は、開発元である台湾B社からの ソースコード全引き渡し付の売り切り契約を締結しました。
事前説明では管理画面が完備、ゲームのデータも閲覧可能、 ゲームのドキュメントもまとまっています!とのことで安心して契約しています。 契約形態としては売り切り、バグがあった場合の簡単な対応はしてもらえる、 手付金で半金、ソースコード類など納品後半金を支払う、といった契約です。 しかも日本側のサーバセットアップまでやってくれるとのこと。
これでゲームの運営が開始できる! テキストの翻訳は一ヶ月くらいでできるんじゃないか? そういえば運営するにあたって、運営者が1人いればいいらしい。 それでやってみるか!
A社は社内試算で、下記のような計画を立てました。
・イニシャルコスト 翻訳者:1人/月 サーバー費用:○万円
・運営コスト 運営:1人/月
はてさて、これで「覇王別姫」は日本でサービスを立ち上げられるのか!? 次号に続く!
売り切りでソースコードなどを…
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